リッカート尺度とは?アンケートの5段階評価の作り方と集計方法

5段階の評価を表す、白から青へ色が変わる5つの木製キューブ

リッカート尺度は、ある意見への賛否などを「そう思う」から「そう思わない」までの段階で答えてもらう方法です。アンケートの実務では、5段階評価や7段階評価を検討する際によく使われる言葉です。ただし、数字を五つ並べれば、測りたいものを正しく測れるわけではありません。

この記事では、BtoBアンケートの5段階評価を例に、設問と選択肢の作り方、「わからない」の扱い、集計するときの分母を解説します。一つの設問への評価を読むことと、複数の項目から心理的な特性の得点を作ることは分けて考えます。

目次

リッカート尺度と5段階評価の関係

リッカート形式の設問では、文章で示した意見に対し、どの程度そう思うかを順序のある選択肢で答えてもらいます。5段階はその選択肢の数の一つで、ほかの段階数もあります。

たとえば「このサービスは、必要な情報を探しやすい」という文章に、「そう思う/ややそう思う/どちらともいえない/あまりそう思わない/そう思わない」で答える形です。満足度や利用頻度を直接聞く段階評価もありますが、何を測る選択肢なのかは、設問文と組み合わせて区別します。

SullivanとArtinoの解説論文は、こうした段階のデータには順序がある一方、隣り合う選択肢の間隔が等しいとは限らないと説明しています。「ややそう思う」と「そう思う」の差を、金額や時間の差と同じようには扱えない点が、読み方の出発点です。

アンケートの5段階評価を作る四つの確認

段階数を決める前に、誰に、何について答えてもらうかをそろえます。以下は、編集部が設問を点検するときに勧める四つの確認です。

1. 一つの設問で評価することを一つにする

「このサービスは安くて使いやすい」と聞くと、価格には納得していても操作しにくい人が答えに迷います。「料金に納得している」と「操作しやすい」を分ければ、どちらへの評価なのかを読み取れます。

見た目を五つの選択肢に整えるだけでは、この曖昧さは解消しません。対象のサービス、利用した期間、評価する場面も、回答者が判断できる範囲で具体的にします。

2. 肯定側と否定側の表現を対応させる

肯定と否定を比較したい設問では、それぞれに対応する表現を置きます。「とても満足/満足/やや満足/普通/不満」では、肯定の段階が多く、否定の程度を同じ細かさで答えられません。

聞く内容5段階の選択肢例評価段階とは別に検討する項目
意見への賛否そう思う/ややそう思う/どちらともいえない/あまりそう思わない/そう思わない判断できない、当てはまらない
満足度満足/やや満足/どちらともいえない/やや不満/不満利用したことがない、評価できない
信頼の程度信頼している/ある程度信頼している/どちらともいえない/あまり信頼していない/信頼していない見たことがない、判断できない
編集部作成の設問例。目的や対象に合わせた事前確認が必要です。

3. 中間の評価と「判断できない」を分ける

「どちらともいえない」は、評価の中間を選ぶ回答です。サービスを使っていない人や、説明を見たことがない人まで同じ欄に入れると、中間の評価が多いのか、そもそも評価できない人が多いのかを区別できなくなります。

ビズサーベイが2026年11月に予定する調査の設計でも、信頼の程度を聞く5段階と「見たことがない」を分けています。これは設計上の判断で、実査によって効果を確かめた結果ではありません。未経験者を評価の真ん中に押し込めないための例です。

4. 段階の並びを保つ

5段階の選択肢は、肯定から否定、または否定から肯定へと、意味の順序を保って並べます。「そう思う」の隣に「あまりそう思わない」を置くような無作為の並び替えは避けます。

Pew Research Centerの設問作成ガイドでも、順序のある選択肢は、その順序が回答の判断材料になるため、通常はばらばらにしないと説明しています。一般の項目一覧をランダム表示する設定を、評価段階にもそのまま適用しないようにします。

4段階・5段階・7段階のどれを選ぶか

どの段階数がよいかは、知りたいことと、回答者が区別できる細かさで考えます。段階を増やしただけで精度が上がった、偶数にしたから本音が取れたとは判断できません。

5段階は中間の評価を含めて答えてもらう形にできます。4段階で中間をなくすと、評価がどちらにも寄らない人にも肯定側か否定側を選んでもらうことになります。その結果は、中間を置いた設問と同じ条件の数字ではありません。

7段階を使う場合も、隣の段階との違いを対象者が読み分けられるかを確かめます。過去の調査と比べたいなら、段階数だけでなく、文面、選択肢、表示順、対象条件もそろえることを勧めます。変更が必要なときは、その影響を結果の読み方に残します。

5段階評価の集計方法:まず人数と割合を示す

最初に、各選択肢の人数と割合を出します。中間の評価や未経験者も残しておけば、肯定側だけを足した数字では分からない回答の分布を確かめられます。

回答人数全回答100人に占める割合
信頼している20人20.0%
ある程度信頼している30人30.0%
どちらともいえない15人15.0%
あまり信頼していない10人10.0%
信頼していない5人5.0%
見たことがない20人20.0%
計算説明用の架空データ。実際の調査結果ではありません。

肯定の割合には分母と合算した項目を書く

この架空データで上の二つを肯定側として合算すると50人です。全回答100人を分母にすると50.0%、一度でも見たことがある80人を分母にすると62.5%になります。どちらも計算はできますが、答えている問いが違います。

「見たことがある80人のうち、『信頼している』『ある程度信頼している』の合計は50人、62.5%」のように書きます。全体の数字と比べる場合は、全回答100人に対する割合も併記します。「わからない」や無回答がある場合は、除外するかどうかを先に決め、その件数も残します。

平均点を出すなら点数化の決まりも示す

肯定側から5、4、3、2、1点とし、「見たことがない」を除くと、この架空データの平均点は290÷80=3.625点です。「見たことがない」を0点として混ぜると、未経験という別の状態を信頼の低さとして計算してしまいます。

点数化した平均を使う場合でも、回答の間隔を等しく扱う仮定が入ることを意識し、各段階の分布も見ます。全員が中間を選んだ集団と、両端に分かれた集団は、同じ平均点になることがあります。平均点だけを理由に「同じ評価」と結論づけない読み方を勧めます。

また、別々の設問の点数を足して「信頼スコア」などを作る場合は、それらが同じものを測っているかの検討が必要です。単一の5段階評価の集計と、複数項目を合成した尺度の設計を同じ作業として扱わないようにします。

配信前に設問と集計の決まりをそろえる

設問を作る段階で、何を肯定側とするか、評価できない人をどう表示するか、何人を分母にするかをメモしておきます。結果を見てから都合のよい合算方法を選ぶことを避けるためです。

調査方法から整理したい場合は定性調査と定量調査の使い分け、回答者への案内を作る段階ではアンケート依頼文の例も参考にしてください。

評価する対象・期間:
設問文(一つの評価に絞る):
評価段階と表示順:
中間の選択肢の意味:
未利用・判断不能・対象外の選択肢:
回答を必須にするか:
各選択肢の人数・割合の表示方法:
肯定側として合算する項目:
分母に含める人・含めない人:
無回答の表示方法:
点数化の有無と対応表:
過去調査と変更した点:
事前テストで確かめる言葉:

ビズサーベイの調査方法とデータ利用ポリシーでも、設問と集計の方針を示しています。5段階という形式だけでなく、回答をどのような数字として公表するかまでそろえることが、読者が確かめられる結果につながると考えます。

参考資料

確認日:2026年10月26日。設問例、記入シート、集計用の架空データは編集部が作成しました。

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