BtoBアンケートの依頼文には、何のための調査か、誰に答えてほしいか、どのくらい時間がかかるか、回答をどう使うかを示します。取引先や顧客にお願いする場合は、回答が任意であることや、問い合わせ先も分かる形に整える方法を勧めます。
丁寧な挨拶を重ねても、回答後に営業連絡が来るのか、会社名やコメントが公表されるのかが分からなければ、相手は協力を判断しにくくなります。この記事では、社内改善に使う顧客アンケートと、集計結果を記事などで公表する調査を分け、依頼文の例を紹介します。
アンケート依頼文を書く前に決めること
まず、調査の目的と、実際の情報の扱いをそろえます。文章に「匿名」「改善に活用」と書くだけで、その運用が実現するわけではありません。
| 決める項目 | 事前に確かめること |
|---|---|
| 対象 | 利用者、導入担当者、比較検討者など、答えてほしい立場と経験 |
| 目的と使い道 | 社内改善、公開レポート、事例掲載、個別のフォローのどれに使うか |
| 必要な時間 | 対象に近い人の事前テストで、実際にかかる時間と迷う箇所 |
| 回答者との対応付け | 氏名、会社名、個別URLなどから、誰が何と答えたかを確認するか |
| 公開の範囲 | 集計値、自由記述、属性、社名・氏名のどこまで出すか |
| 窓口と期限 | 問い合わせを受ける担当、回答の締切、案内を止める方法 |
調査の目的を説明しながら、実際には営業の見込み客を集めることだけが狙いになっている文面は避けます。AAPORの倫理綱領も、調査を装って販売などの別の活動を行わないことや、目的を誤解させないことを求めています。
BtoBアンケート依頼文の基本構成
メールでは、件名と冒頭で依頼の中身をつかめるようにし、詳しい説明を必要な順に続けます。以下は編集部が勧める構成で、調査会社や媒体の一律の規定ではありません。
件名で対象と所要時間を伝える
「アンケートのお願い」だけでなく、「サービス利用者向け」「導入担当者向け」などの対象と、確認した所要時間を添えます。「1分で完了」と書くなら、自由記述や読み直しも含めて、その案内が実態に合うかを事前に確かめます。
ビズサーベイは、調査設計の段階で冒頭の説明文も作っています。誰が何を聞くのか、どのように結果を公表するのかを設問と一緒に検討するためです。これは準備中の設計上の取り組みで、特定の文面による回答率の改善を測ったものではありません。
本文の前半で調査主体と使い道を伝える
会社名や調査主体を名乗り、何を知り、その情報を何に使うかを説明します。「よりよいサービスのため」だけでは、社内資料になるのか、社外の記事にも載るのかが分かりません。公表する予定があるなら、回答前にその用途が分かるようにします。
逆に、社内改善だけに使うアンケートを、後から記事の素材として使うことを前提にしないようにします。自由記述や社名を事例として紹介したい場合は、集計値の公表と区別して扱いを決めます。
回答の任意性と連絡方法を伝える
取引先からの依頼は、相手が業務上の回答だと受け取る場合があります。協力は任意だと示し、回答しないことが取引条件に影響しないという説明を入れるなら、そのとおりに運用する方針を社内で確認します。
質問がある場合の窓口も添えます。回答用URL、締切、問い合わせ先が別々の場所に散らばらないよう、相手が行動を選べる位置にまとめます。謝礼がある場合は、条件や受け取り方法も、実際に決まっている範囲で説明します。
顧客アンケートの依頼文例:社内改善に使う場合
以下は、回答を社内でのサービス改善に使い、社外に公表しない運用を想定した編集部作成の例文です。任意性、取引条件への影響、回答の利用範囲を確認したうえで使います。角括弧は実際の情報に置き換えます。
件名:【ご協力のお願い・約[確認済みの所要時間]分】[サービス名]のご利用に関するアンケート [宛名] 様 いつも[サービス名]をご利用いただき、ありがとうございます。 [会社名・部署名]の[担当者名]です。 現在、[対象期間]に[対象となる利用経験]のある方に、 [改善を検討している内容]について伺っています。 いただいた回答は、当社内での[具体的な改善・検討]に使用します。 対象:[答えてほしい立場・経験] 所要時間:約[事前テストで確認した時間]分 回答期限:[年・月・日・時刻] 回答用URL:[アンケートのURL] ご協力は任意です。ご回答の有無によって、お取引条件が変わることはありません。 回答は[誰が閲覧し、どの範囲で利用するか]の範囲で扱い、社外には公表しません。 [個別の連絡やフォローを行う場合は、その条件] ご不明な点や今後のご案内が不要な場合は、下記までお知らせください。 ご協力をご検討いただけますと幸いです。 [会社名・部署名・担当者名・問い合わせ先]
個別の回答を担当営業が読む場合は、それを伏せて「統計的にのみ処理します」と書かないようにします。顧客単位のフォローを行うのか、集計だけを見るのかを先に決めると、説明と実際の扱いがずれにくくなります。
調査結果を公表する場合の依頼文例
集計を公開レポートや報道資料に使う場合は、その使い道と、個別の回答をどのように扱うかを伝えます。次の例文も架空の型です。サービスの提供者が顧客に送る調査と、外部の調査パネルで回収する調査では、必要な案内や連絡の流れが異なります。
件名:【調査協力のお願い】[対象者]の[調査テーマ]について/[調査主体] [宛名] 様 [調査主体・運営会社]の[担当者名]と申します。 [調査の目的]を把握するため、[対象となる条件]に当てはまる方に伺っています。 調査名:[調査名] 対象:[立場・経験・期間などの条件] 所要時間:約[事前テストで確認した時間]分 回答期限:[年・月・日・時刻] 回答用URL:[アンケートのURL] ご協力は任意です。 回答は集計し、[公開レポート・記事・報道資料などの具体的な用途]で公表します。 個別の回答の扱い:[閲覧する人、対応付けの有無、公開する範囲] 自由記述の扱い:[引用の有無、引用する場合の範囲と確認方法] 詳しい説明:[この調査の情報の扱いを説明するページ] 内容についてのご質問は、下記までお問い合わせください。 ご協力をご検討いただけますと幸いです。 [調査主体・運営会社・担当者名・問い合わせ先]
ビズサーベイの調査方法とデータ利用ポリシーでは、調査概要と集計の示し方を公開しています。ただし、これは自社調査の方針です。別の会社が使う依頼文から、このページへのリンクだけを貼って自社のデータの扱いの説明に代えることは勧めません。自社で実際に行う調査の説明を用意します。
「匿名」と「回答を公開しない」を混同しない
回答者が誰かを把握することと、その回答を社外に出すことは別の問題です。氏名欄がなくても、個別のURLや管理番号から回答者と回答を対応付ける仕組みがあるなら、完全に誰の回答か分からない調査として説明しないようにします。
AAPORの研究倫理に関する案内も、回答者の識別情報が記録されている場合の秘密保持を説明しています。誰が答えたかを扱わないことと、扱った情報を限られた範囲で守ることを分けて考える際の参考になります。
メールアドレスを謝礼の送付用に集める場合も、アンケートの回答と分けて管理するのか、結び付けるのかを確認します。自由記述から勤務先や案件が分かることもあるため、社名や個人名を記入しないよう案内するなど、目的に合う範囲で情報を集める設計を勧めます。
アンケートの再案内は運用に合う文面にする
再案内では、期限と回答先を簡潔に示します。誰が回答済みかを確認できる運用と、確認しない運用では、送る相手と文面が変わります。
件名:【再案内】[アンケート名]の回答期限は[月日]です [宛名] 様 先日ご案内した[アンケート名]について、回答期限をご案内いたします。 ご協力いただける場合は、[月日・時刻]までに下記よりお願いいたします。 所要時間:約[確認済みの時間]分 回答用URL:[アンケートのURL] ご協力は任意です。 [回答済みかを照合しない運用の場合:すでにご回答いただいた方にもご案内が届く場合がございます。行き違いの際はご容赦ください。] 今後のご案内が不要な場合や、ご不明な点がある場合は、[窓口]までお知らせください。 [会社名・部署名・担当者名]
回答済みの相手を把握している場合は、その相手を再案内から除く方法を検討します。反対に、把握していないのに「未回答の方だけに送っています」とは書きません。依頼文の印象だけでなく、実際の配信対象と合っているかを確認します。
送信前に、依頼文と回答画面を通して確かめる
メールだけが整っていても、リンク先で対象者や使い道の説明が変わったり、案内した時間より大幅にかかったりすると、相手の判断を妨げます。対象に近い人に、依頼文を読むところから回答を終えるところまで試してもらう方法を勧めます。
確かめるのは、リンクが開くか、誰に向けた調査か分かるか、任意回答の説明と必須項目の設定が合っているか、公開の範囲を理解できるか、問い合わせ先を見つけられるかです。回答率の向上を文面だけの効果とせず、設問の量、対象との関係、依頼時期なども含めて振り返ります。
配信前に調査方法から見直す場合は定性調査と定量調査の使い分け、設問の選択肢を確認する場合は5段階評価の作り方も参照してください。
参考資料
確認日:2026年10月26日。依頼文と再案内文は編集部作成の架空のテンプレートで、回答率への効果を実証したものではありません。
